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高円寺~恵比寿・展覧会めぐりさんぽ(その3・東京都写真美術館)

2012/04/22
高円寺から恵比寿に移動。ガーデンプレイスの東京都写真美術館「生誕100年記念写真展 ロベール・ドアノー展」へ。
特大キス
彼の代表作のひとつ、この特大「パリ市庁舎前のキス」は、東京都写真美術館の外壁面を飾る3枚の写真の一つ(後はロバート・キャパと植田正治)。

ロベール・ドアノー(1912~1994)の足跡を200点の写真で見る。生まれて初めて手に入れたカメラで撮った写真はセルフポートレート。そして、撮影対象者に対してお辞儀するように向かい合うローライフレックスは、恥ずかしがりやの彼にとってはとても居心地の良いものだったということに「ドアノーでさえ・・・」とちょっとほっとする。出だしの頃の写真は人物が遠かったり、後姿が多かったり、しかし、次第に写真が変化していく様がわかる。彼の真骨頂は、撮影モデルたちが心を許すまで中に分け入り、完全に彼を意識しなくなる時まで、焦らず待つこと。人物写真って、全人格作業というか身を削るっていうか、本当はそういうものなのだ。パリに暮らす市井の人々や子供たちのスナップは本当にやさしい。見るものを幸せにする写真だ。最晩年の国土整備庁からの任務によるシリーズはパリ市街の建物や街並みのカラー写真。意図して一切の人物を排除した硬質な写真は最後の変化。
 時代を超えて愛される写真の数々。大満足。5月13日(日)まで開催。

すでに結構疲れて、これ以上の展覧会のはしごは気が進まなかったのだけど、ダンナが「せっかく来たのだから」と館内の別の展覧会のはしごを主張するので、結局別のフロアで開催しているあと二つの展覧会も制覇。

フェリーチェ・ベアトの東洋  J・ポール・ゲティ美術館コレクション
この人はイタリア人なんだけど、19世紀後半のインド、中国、日本、朝鮮、ビルマを撮影して西洋に紹介した。幕末の江戸の町を愛宕山から俯瞰したパノラマ写真のすばらしさ、当時の日本人をモデルにした写真に彩色したシリーズ、町に転がる白骨を記録した戦争写真など、緻密な描写に圧倒される。5月6日(日)まで開催。

幻のモダニスト 写真家堀野正雄の世界
堀野正雄(1907-1998)。戦後は写真家としての活動をやめてしまったが、それ以前は雑誌との企画でドキュメンタリーシリーズを撮ったり(戦前の東京の町の混沌の様子をおさめたシリーズがすごく面白い。今では考えられないほどどうしようもなく汚れた川や、スラムのようなバラック小屋で暮らす人々の笑顔とかが印象に残っている)、モダンな人物ポートレートなど、当時としては超進歩的な写真だったのだろう。5月6日(日)まで開催。

貴重な写真をたくさん見たけど・・・疲れました・・・。

ガーデンプレイス春
ガーデンプレイスは春真っ盛り。

チューリップピンク!
へとへとなので、一服しようということで・・・(続く)。
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高円寺~恵比寿・展覧会めぐりさんぽ(その2・第2回 -mozo mozo- 虫・蟲 展)

2012/04/21
七つ森でおなかを満たした後、ギャラリーたまごの工房で開催中の「第2回 -mozo mozo- 虫・蟲 展」を見に行った。
たまごの工房第2回むし展

かえるや里山の生き物のイラストを描かれる愛すべきほのかえるさん(KAERU NINJA)が出展されているので。去年は結局行かなかったので、今年は!と。かえるが幸せに住む世界は、昆虫も豊富なのだから!

同ギャラリーで毎年開かれる「かえる展」に比べれば、作品数がこじんまりして(当たり前・・・か?)ゆとりのある空間に、入魂の力作が並ぶ。ほのかえるさんの作品は、カマキリ、ゲンゴロウ、オトシブミ、クワガタ、てんとうむしなど。作風は一番「マイルド」(笑)。その他の作家さんの作品で、私が強く引かれたのは、フェルトで作られたリアルで巨大な蚕蛾、そして、ビーズで作られた美しい蝶や蛾。実際の蛾は苦手なのだけれど、滝つぼを恐る恐るのぞくと頭から引き込まれるような感じ。美しさと魅力があります。さすがに買えないけど・・・。

しぼりにしぼって
悩みに悩んで、絞りに絞って、買ったもの。カマキリとドクダミのミニ額と、ゲンゴロウとてんとうむしとかたつむりのポストカード。カマキリもゲンゴロウも、去年オトモダチになったご縁もあり(ゲンゴロウは初めて触った)。もっと欲しかったのだけど、「近々かえる展もある」「来年もある」と欲張らないことにした。早速飾ってます。ほんとにかわいい。

ギャラリーは昆虫住む森や里山への入り口・・・かも。

第2回 -mozo mozo- 虫・蟲 展

24年4月17日(火)~29日(日)月曜休廊
(火)~(土)12:00~19:30  (日)~18:00  


さんぽは恵比寿へ続く。
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スリップウェアと西洋工芸展@日本民藝館

2012/03/23
おととい水曜日の店休日。朝イチで病院へ術後2度目の検診。内外ともに傷口もきれいで、感染症もなし。これより先は日常生活の制限は全て無くなりました。「以後は1年毎で検診に来れば安心でしょう」とのこと。子宮がん検診はもう必要ないけど、卵巣のトラブルが発生する可能性は残っているので、1年毎にエコーなどで診てもらえればやっぱり安心。お世話になった先生にお礼を言って、この日のお天気のように晴れ晴れとした気分で病院を後にできたのは、本当に幸運です。身体を大切にしよう。

翌日木曜日が緊張仕事だったので、帰って家事して、午後は店で準備かな・・・と思っていたんだけど、時間に余裕もあるから、思い切って行きたかった展覧会に行きました。緊張から切り離せず、思い切り味わえそうにないな、でも、明日への「栄養」になるかもしれない・・・となどと思いつつ、自分を押し出すように電車に乗りました。

日本民藝館正面
場所は井の頭線・駒場東大前、日本民藝館、「スリップウェアと西洋工芸」展(~3/25まで)。額入りポスター
初めての日本民藝館、予想以上に素晴らしい建物でした。
入り口
以下は展覧会の案内より引用です。

近年その美しさが注目され始めたスリップウェアは、18世紀中頃-19世紀末に実用品として作られた英国陶器です。素地に化粧土を用いて抽象文や鳥文などを装飾した軟陶の器で、本国よりも日本で高く評価されてきました。その美は柳宗悦や初期民藝運動の推進者によって見出されたといっても過言ではありません。当館所蔵のスリップウェアを軸に、他の西洋陶器や木工・絵画類と共に展示紹介します。


昨年9月の「濱田庄司スタイル展(パナソニック汐留ミュージアム)」でスリップウェアを観て以来、自分の食卓にも取り入れたとしてもすぐに馴染む、素朴だけどモダン、骨太で温かみのあるスリップウェアがとても好きになりました。今回の展示はケースに入ったガラス越しが多かった(パナソニックのはほとんど直に観れたので、もっと魅力的だった)のが残念でしたが、イギリスやスペインなどの重厚で歴史を感じさせる家具などと一緒に、日本民藝館という素晴らしい空間で観れて、とても良かったです。

スリップウェアについてはコチラをご参照ください。

現代日本でも、スリップウェアを作っている作家さんはいるようです。島根県の布志名焼・湯町窯・福間琇士さん、益子の伊藤丈浩さん、熊本県・小代焼の井上尚之さんなど。おいおい買えたらいいなあ。一生の楽しみとして。

この日はたまたま、日本民藝館向かいに建っている日本民藝館創設者・旧柳宗悦邸である西館の公開日だったので、展示を見た後、そちらにも立ち寄りました。
紅梅と西館
紅梅の向こう側に見えるのが西館・長屋門です。
西館入り口
民藝館同様、柳宗悦自身が設計に携わった落ち着いた邸宅。こぢんまりしているけれど、身心を休め、自分の心に耳を澄ませ、明日への活力を得るには、こんな静かなおうちが一番な気がします。

行ってよかったです。

夏には柳や濱田、河井寛次郎らと親交が厚く、日本の民芸運動と深いかかわりを持つバーナード・リーチ展もあるので、また行きたいと思います。
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濱田庄司スタイル展

2011/09/16
おととい、ダンナ出張中でひとりの休日だったので、以前から行く機会を狙っていた「濱田庄司スタイル展」(於;パナソニック電工汐留ミュージアム)に行ってきました。
濱田庄司スタイル展

以下は開催趣旨より引用です。

現代陶芸の第一人者として、また民藝運動の中心人物として広く知られている濱田庄司(1894-1978)。
しかし、濱田がモダニストであったことにこれまで焦点があてられることはあまりありませんでした。
 バーナード・リーチとの交流の中で、濱田がイギリスのセント・アイヴスに滞在したことは周知のことですが、実はサセックス州のディッチリングも訪ねており、この地での経験が濱田を益子焼の里(栃木県芳賀郡益子町)に居住させる後押しをすることになったのです。
 1921年11月6日、濱田庄司はリーチとともにディッチリングを訪問しその地に住まう工芸家たちの中心人物であったエリック・ギルとの対面を果たします。ディッチリングの工芸家村は、ロンドンから決して遠くない距離でありながらゆっくりとした時間が流れる穏やかな村でした。ここではデザイナーや工芸家たちが、生活も芸術活動も含めた身の回りのすべての物事を自分の意志でデザインするという、健康で自由な生活が営まれていました。そうしたなかで、濱田はギルらを「確固たる信念と落着きを彼らの仕事と生活に持っていた。確固たる信念は頭によって得られるが、しかし落着きは良き生活の支えがなければ得られるものではない」と評し、「良き生活」についての重要性を学び、帰国後益子での生活を選択したのでした。
「健康」あるいは「健康な美」を追求した濱田の益子での生活は全て自然に基づくもので、現在でいうところのスローライフを先駆けて実践していたといえるでしょう。
 この展覧会は、モダニストとしての濱田庄司の側面を紹介するものであり、工芸と生活の結びつきを再検証するものです。益子参考館の全面協力のもとに人間・濱田庄司の新たな一面をご紹介いたします。


イギリス・ディッチリングで、暮らしも芸術活動も、自らの力・自らのスタイルで営む暮らしを体験した濱田は、ここで後半生を過ごす益子での暮らしへの確固とした土台を作ったのだと思います。イギリス農村部での豊かな暮らしを経験し、古今東西を問わず生活の中で生きる美を選り抜く眼と力を持っていた濱田が、世界各国の用の美溢れる生活用品や民芸品を蒐集し、それを実際の自分の暮らしの中に取り入れ(生活スタイルも含め)、心地よく暮らしていたモダニストであったことは、そのような経緯からすれば容易に想像できることです。当時としては非常に先進的な暮らしだったことでしょう。実際に日々の暮らしで使うことを念頭に置いて作るからこそ食卓にすんなりと馴染む濱田の作品の数々、濱田が選び愛用した品々、益子でのスローライフな暮らしぶり、濱田が生涯をかけて追求した「理想の暮らし」がそこにあります。
 モノが溢れる現代の暮らしですが、本当の豊かさとは何か、憧れが募る展覧会です。

「濱田庄司スタイル展」は9月25日(日)までです。
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